司法・法律 / 法律系国家・検定

行政書士の例題・出題範囲・重要用語

憲法/行政法/民法/商法・会社法/基礎法学/一般知識等(政治・経済・社会/情報/文章理解)

出題範囲

  • 民法
  • 基礎法学
  • 基礎知識(文章理解)
  • 行政法(総論・行政手続・不服審査・訴訟)
  • 基礎知識(情報通信・個人情報保護)
  • 憲法
  • 基礎知識(一般知識:政治・経済・社会)
  • 商法・会社法
  • 基礎知識(行政書士法等の業務関連諸法令)

例題に挑戦

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例題1

行政手続法が規定する不利益処分に関する手続についての記述として、最高裁判所の判例および法令の規定に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 行政庁が不利益処分を口頭で行う場合であっても、処分の理由の提示については、相手方の法的保護の観点から必ず書面により提示しなければならない。
  2. 刑事収容施設において、収容者に対して行われる処分については、行政手続法の不利益処分に関する規定が全面的に適用される。
  3. 申請に対する拒否処分は、申請者の期待を裏切る不利益な効果を持つものであるから、行政手続法上の不利益処分に該当し、聴聞の手続を要する。
  4. 行政庁は、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分とするかについて、処分基準を定め、これを公表するよう努めなければならない。
  5. 不利益処分をしようとする場合、行政庁は、当該処分の名あて人となるべき者に対し、例外なく、聴聞または弁明の機会の付与のいずれかを実施しなければならない。
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正解: 行政庁は、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分とするかについて、処分基準を定め、これを公表するよう努めなければならない。

正解は「行政庁は、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分とするかについて、処分基準を定め、これを公表するよう努めなければならない。」です。行政手続法第12条第1項に基づき、行政庁は処分基準を定めるよう努める義務(努力義務)があり、同条第2項により公表についても努力義務とされています。これに対し、申請に対する処分の「審査基準」の策定・公表は法的義務(第5条)である点との違いが試験で頻出のポイントです。なお、第3条第1項第2号により刑事収容施設での処分は適用除外とされており、拒否処分は第2条第4号の定義により「不利益処分」には含まれません。

例題2

行政事件訴訟法に基づく取消訴訟の原告適格に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 総合食肉市場の開設許可処分に対し、近隣の住民は、環境悪化による健康被害のおそれを理由として原告適格を主張することはできない。
  2. 不当景品類及び不当表示防止法に基づき、公正取引委員会が行った排除命令に対し、一般消費者はその取消しを求める法律上の利益を有する。
  3. 法律上の利益を有する者とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。
  4. 場外車券発売所の設置許可処分について、その周辺で生活する住民が騒音等の被害を受けるおそれがある場合であっても、住民に原告適格が認められることはない。
  5. 既存の公衆浴場業者は、近隣に新たな公衆浴場の設置が許可された場合、その許可の取消しを求める原告適格を有しない。
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正解: 法律上の利益を有する者とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。

正解は「法律上の利益を有する者とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。」です。これは行政事件訴訟法第9条第1項の「法律上の利益を有する者」に関する判例の確立した解釈です。判例は、当該処分を定めた法規が、不特定多数の利益(公益)だけでなく、個人の個別的利益をも保護する趣旨を含む場合に、原告適格を認めます。公衆浴場事件では既存業者の原告適格が認められており、小田急高架複々線訴訟などの近年の判例では、健康や生活環境への具体的被害を受けるおそれのある住民にも広く原告適格が認められる傾向にあります。

重要用語

善意・悪意
民法上の「善意」とは、ある事実を知らないことを指し、「悪意」とは知っていることを指します。一般的な道徳的意味とは異なり、法律上の認識の有無を区別する重要な概念です。例えば、虚偽表示の無効を善意の第三者に対抗できない場合など、取引の安全を守るために、事実を知らなかった者を保護する仕組みが随所に設けられています。試験では、善意に加えて「無過失」が求められるかどうかが重要なポイントです。
時効
一定の事実状態が長く続いた場合に、その状態に合わせて権利関係を確定させる制度です。他人の物を一定期間占有することで権利を得る「取得時効」と、権利を行使しないまま期間が経過して権利が消滅する「消滅時効」があります。法的な安定性を図り、証拠の散逸による困難を防ぐとともに、「権利の上に眠る者は保護しない」という趣旨が含まれています。更新や完成猶予といった中断事由の理解が不可欠です。
即時取得
動産を占有している者を真の権利者だと信じて取引した者が、一定の要件を満たせば、即座にその動産の権利を取得できる制度です。不動産には認められず、動産のみに適用されます。取引の安全を重視し、真の権利者よりも、過失なく信頼して取引に入った者を優先する仕組みです。成立には、平穏・公然・善意・無過失で占有を開始することが必要であり、盗品や遺失物については例外規定が設けられています。
抵当権
債務が弁済されない場合に、不動産などを競売にかけてその代金から優先的に支払いを受けることができる担保権です。所有者がそのまま不動産を使用・収益し続けられる点が特徴で、銀行融資などで広く活用されています。登記が必要であり、一つの物件に複数の抵当権を設定することも可能です。試験では、抵当権の効力の範囲、物上代位、法定地上権の成立要件などが頻出の論点として問われます。
債務不履行
債務者が正当な理由なく、契約上の義務を果たさないことを指します。主な類型として、期限を過ぎても履行しない「履行遅滞」、履行が不可能になった「履行不能」、履行はしたが不完全だった「不完全履行」があります。債権者はこれに対し、損害賠償請求や契約の解除を行うことができます。2020年の民法改正により、債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由)の扱いや解除の要件が整理されたため、注意が必要です。
心裡留保
表意者が真意ではないことを知りながら意思表示を行うことです。原則として、その意思表示は有効(表示通り)ですが、相手方が表意者の真意ではないことを知り(悪意)、または知ることができた(有過失)場合には、その意思表示は無効となります。例えば冗談で「家をあげる」と言った場合などが該当します。また、無効となった場合でも、善意の第三者にはその無効を対抗することができないとする規定もあります。
不法行為
故意または過失によって他人の権利や利益を侵害し、損害を与える行為です。加害者は被害者に対して、発生した損害を賠償する責任を負います(民法709条)。成立には「故意・過失」「権利侵害」「損害の発生」「因果関係」「責任能力」が必要です。行政書士試験では、自己の行為だけでなく、他人の行為に責任を負う「使用者責任」や、建物の不備による「工作物責任」などの特殊な不法行為も頻繁に出題されます。
遺留分
兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、直系尊属)に最低限保障されている、遺産の一定割合のことです。遺言によってもこの権利を奪うことはできず、もし遺留分を下回る相続しかできなかった場合、受遺者などに対して「遺留分侵害額請求」を行うことで、金銭による補償を求めることができます。相続人の生活保障と公平性を確保するための制度であり、誰がどの程度の割合の権利を持つかという計算問題も出題される傾向にあります。

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