出題範囲
- キャッシュ・フロー計算書(直接法/間接法)
- 退職給付会計
- 業績評価/分権管理/移転価格
- 税効果会計
- リース会計(借手/貸手)
- 外貨換算・為替差損益
- 企業結合・連結会計(持分変動/非支配株主持分/包括利益)
- 収益認識/公正価値測定/会計基準・開示
- 予算編成/原価管理/原価企画
- CVP分析/意思決定会計(価格/外注/投資)
- 原価計算総論・標準原価計算・差異分析
- 金融商品・デリバティブ・ヘッジ会計
- 直接原価計算/限界利益/セグメント損益
例題に挑戦
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例題1
全部原価計算と直接原価計算の営業利益の差異について、期末棚卸資産に含まれる固定製造原価が期首棚卸資産に含まれる固定製造原価よりも大きい場合の記述として、正しいものはどれか。
- 全部原価計算の利益 > 直接原価計算の利益
- 貢献利益が固定比率を上回る場合にのみ利益が一致する
- 損益分岐点売上高においてのみ利益が一致する
- 全部原価計算の利益 < 直接原価計算の利益
- 全部原価計算の利益 = 直接原価計算の利益
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正解: 全部原価計算の利益 > 直接原価計算の利益
全部原価計算と直接原価計算の利益差異は「(期末棚卸資産に含まれる固定製造原価)-(期首棚卸資産に含まれる固定製造原価)」によって算出されます。期末棚卸資産に含まれる固定費が期首よりも多い場合、全部原価計算では当期に発生した固定費の一部が翌期へ資産として繰り延べられるため、その分だけ費用計上額が少なくなり、利益は直接原価計算よりも大きくなります。したがって正解は「全部原価計算の利益 > 直接原価計算の利益」です。このように、操業度や在庫の増減が利益に与える影響を把握することは、簿記1級の原価計算において非常に重要です。
例題2
セグメント別損益計算において、部門管理者の業績を評価するために最も適した利益概念はどれか。
- 限界利益
- 部門貢献利益
- 税引前当期純利益
- 営業利益
- 部門管理可能貢献利益
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正解: 部門管理可能貢献利益
セグメント(部門)の業績評価ではなく、部門管理者の業績を評価する際には、その管理者がコントロールできる範囲のコストのみを差し引いた利益を用いる「管理可能性の原則」が適用されます。貢献利益から部門管理者が管理可能な固定費を差し引いた利益概念が「部門管理可能貢献利益」であり、これが評価に最も適しています。一方で、管理不可能な固定費まで差し引いた「部門貢献利益」や全社共通費まで配賦した「営業利益」は管理者の評価としては不適切です。正解は「部門管理可能貢献利益」です。短い選択肢ですが、管理会計の基礎となる重要な用語です。
重要用語
- 退職給付債務
- 従業員が提供した労働の対価として、将来支払われる退職給付の見込額のうち、現時点までに発生したと認められる部分を割引価値で算出したもの。企業の負債の基礎となる金額であり、割引率を用いて現在の価値に引き直す点が特徴。日商簿記1級では、数理計算上の計算プロセスや割引率の決定が重要視されるため、正確な計算が求められる。
- 年金資産
- 退職給付の支払いに備えて、企業が外部の信託銀行や生命保険会社などに積み立てている資産。退職給付債務からこの額を差し引いて、貸借対照表上の負債を算出する。時価で評価され、特定の目的以外には使用できない拘束性がある。試験では、期待運用収益の計算根拠として重要となり、実際の運用結果との差額は数理計算上の差異となる。
- 勤務費用
- 従業員が当期中に労働を提供したことによって発生した退職給付の見込額のうち、当期に割り当てられた部分。退職給付費用の構成要素の一つであり、通常は退職給付債務の増加要因となる。日商簿記1級の計算問題では、退職給付債務の期首残高と当期の増加要因を整理する際に、最初に対象となる基本的な項目である。
- 利息費用
- 退職給付債務の期首残高に対し、割引率を乗じて計算される金額。時間の経過に伴い、将来の支払日までの期間が短くなることで生じる割引計算上の増加分を意味する。退職給付費用の構成要素となり、計算時には期首の退職給付債務をベースにする。試験では、割引率の変更があった場合の扱いに注意が必要である。
- 期待運用収益
- 年金資産の運用によって生じると合理的に期待される収益のこと。期首の年金資産の時価に期待運用収益率を乗じて算出する。この金額は退職給付費用を減少させる項目として扱われる。実際の運用実績との差額は「数理計算上の差異」となり、翌期以降に費用または収益として規則的に処理されることになる重要な計算項目である。
- 数理計算上の差異
- 退職給付債務の予測値と実績値のズレ、または年金資産の期待運用収益と実際の運用結果のズレから生じる差異。発生した年度に一括で処理せず、原則として翌期から一定期間で按分して費用処理する。遅延認識の対象となるため、未認識債務としてオフバランス管理される点が、個別財務諸表における試験での重要な論点となる。
- 過去勤務費用
- 退職給付水準の引き上げなどの給付規定の改訂により、過去の勤務期間に対して発生した退職給付債務の増加分(または減少分)。発生時に一括費用処理せず、数理計算上の差異と同様に、平均残存勤務期間内の一定の年数で按分して処理する。有利改訂と不利改訂の両パターンがあり、試験では償却開始時期や処理方法が問われる。
- 退職給付引当金
- 将来の退職給付の支払いに備えて、貸借対照表の負債の部に計上する引当金。計算式は「退職給付債務 - 年金資産 ± 未認識数理計算上の差異 ± 未認識過去勤務費用」となる。連結会計と個別会計で、未認識項目の取り扱い(オンバランスかオフバランスか)が異なる点が、日商簿記1級における非常に重要な論点である。
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